自己都合で退職したときの失業保険の利用方法

2021/06/01

自己都合で退職したときの失業保険の利用方法 雇用保険に加入していると、退職後に支えとなる失業手当。
正しくは雇用保険の基本手当と言い、仕事を辞めた人に対し国から一定の期間支給されるお金のことです。
失業手当は、退職理由や雇用保険の加入期間、年齢、給料などの条件により、受け取れる額は一人ひとり異なります。
退職理由にも自己都合や契約満了、会社の都合などがあり、今回は自己都合で退職する場合の失業保険の利用方法を紹介します。

退職理由で失業保険の何が変わるの?



退職理由で失業保険の何が変わるの?
退職理由が自己都合の場合、会社都合の場合と比べて以下の違いがあります。

  • ・給付額の合計が少ない

  • ・給付される日数が少ない

  • ・実際に給付されるまでに日数がかかる


退職理由はなんであれ、1日あたりに給付される失業保険料は同じです。
しかし、会社都合で退職した場合、一週間の待機期間の翌日から失業保険の受給期間が始まるのに対し、自己都合で退職した場合は、一週間の待機期間の後、さらに2ヶ月の給付制限の翌日から受給期間が始まります。
また、1日あたりの給付額は同じでも、最大でもらえる日数が少ないため、給付額の合計は自己都合で退職した場合が少なくなります。

なぜ自己都合で退職した場合、給付日数が少なくもらえる合計額が少ないのでしょうか。
失業保険は、本来会社都合である倒産や解雇といった、急な失業に対する被害を最小限に抑えるための制度です。
そのため自己都合での退職に比べ、会社都合で退職となった方への支援が手厚くなっているのです。

自己都合で退職しても制限なしで支援を受けられる



自己都合で退職しても制限なしで支援を受けられる
自己都合で退職した場合、退職理由によっては給付の制限なく失業保険を受け取れることがあります。
それは、退職者が難病の治療を行う必要がある場合や、退職者の家族が転勤する場合など、国が定める理由での退職の場合、会社都合で退職したときと同じ失業保険を受けることができます。
国が定める退職理由、『特定理由離職者』には以下の退職理由が定められています。


  • ・期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者

  • ・体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者

  • ・妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた者

  • ・父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合 又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭 の事情が急変したことにより離職した者

  • ・配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者


※参照:厚生労働省 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

上記の理由に該当する場合、ハローワークにて失業保険を申請する際に申告すれば、会社都合での対象と同じ支援を受けることができます。

失業保険は1日あたりいくらもらえるの?


失業保険は1日あたりいくらもらえるの?

失業保険の給付額は、退職前の1日あたりの給与50から80%を1日に受け取ることができます。
さらに、退職前の6ヶ月間の給料の合計金額(残業代は含みますが、賞与は除きます)と、退職時の年齢によって決定します。
しかし、退職前の6ヶ月間の給料の合計金額が多ければたくさん給付が受け取れるわけではなく、給付の上限額は決められています。

実際にどのような計算で給付額を決めているのでしょうか。
1日あたりの給付額は、以下の計算で求めることができます。

1日あたりの給与=退職前の6ヶ月間の給料の合計金額(残業代込み、賞与除く)÷180
1日あたりの失業保険の給付額=1日あたりの給与×0.5から0.8
※60から64歳の場合は、1日あたりの給与×0.25から0.8で計算します。
※参考:厚生労働省 「雇用保険の基本手当日額の変更~8月1日(土)から実施~」

1日あたり受け取れる金額の上限はどれくらいなのでしょうか。
退職前の6ヶ月間の給料の合計金額で失業保険料が変わると紹介しましたが、実は退職時の年齢によって1日あたりに給付額の上限が決まります。


  • ・30歳未満の場合…6,850円

  • ・30歳以上45歳未満の場合…7,605円

  • ・45歳以上60歳未満の場合…8,370円

  • ・60歳以上65歳未満の場合…7,186円


職業訓練を受講すると給付制限がなくなる


失業保険は1日あたりいくらもらえるの?


職業訓練を受講することにより、失業保険を受ける際に以下のメリットがあります。

  • ・給付の申請を代行してもらえる

  • ・失業保険の支給期間が延びる

  • ・給付をすぐ受けれるようになる


職業訓練は、離職者を対象としたスキルアップを目的としたセミナーや講座のことです。
独立行政法人や自治体が主催しており、受講料は無料、1日500円の受講手当と、縁方から参加の場合交通費も支給されます。

メリットをひとつずつ簡単に説明します。

#給付の申請を代行してもらえる


職業訓練を受講すると、毎月末が失業認定日となるため、職業訓練校が手続きを代行してくれます。

#失業保険の支給期間が延びる


職業訓練を受講すると、訓練が終了する日まで失業保険を受けることがでいます。
職業訓練には1ヶ月から2年までいろんな期間のコースがあり、受講したコース期間の最終日まで給付日を延ばすことができます。

#給付をすぐ受けれるようになる


職業訓練を受講すると、給付制度が解除され、自己都合で退職した場合でもすぐに給付を受けることができるようになります。
受講の申し込みは退職前でも可能です。


失業保険を利用し次へつなげるために


自己都合、会社都合問わず、退職が決まったら失業保険を受けるための準備を始めましょう。
自己都合での退職の場合、退職理由が特定理由離職者に該当するのか、訓練校は受講するのかなどを決め、次へ繋がるよう失業保険を活用していきましょう。
不明点や不安がある場合は、専門の窓口へ相談するのもオススメです!